映画フィッシュマンズを観て

評価★★★★★
2021年ドキュメンタリー
172分 日本
監督:手嶋悠貴

高校生の時に、空中キャンプを聴いて、打ちのめされて以来、彼らの音楽に心酔し、聴くと必然的に自分の青春とオーバーラップしてしまう。

佐藤君の死後は、しばらく聞けなくなっていたものの、月日とともにその傷も癒え、やっぱり今でも酔っ払うと爆音で聴いてしまう。そんなかけがえのないバンド、フィッシュマンズ

映画化の話を聞いて、観たい反面、観たくないような複雑な気持ちになった。

こんな気持ちになったのは、おそらく個人的にフィッシュマンズに対する気持ちは、他の人と共有できないし、したくもないと思っていたのと、過去の思い出と一緒に、自分の心の中にしまっておきたかったからかな。

でも、素直に、バンドの成長と解体の過程で、何が起きていたのか、知りたくなり、観にいくことを決意した。

結果として、鑑賞できて本当によかった。
想像以上に気持ちを揺さぶられ、数日経過した後も、音源を聴いてたまに涙ぐんだりする。

なによりも手嶋悠貴監督の誠実さと明晰さを感じる映画だった。
佐藤伸治を神格化することもなく、あくまで裏方に徹し、適度な距離感を保って、関係者の話を聞き、正確にバンドの歴史を辿ろうとするその姿は、愛おしささえ感じた。

監督がインタビューでも話しているように、まさにフィッシュマンズファンが見たい映画を作ってくれたと思う。

172分2500円と、ややハードルが高い映画ではあるが、実際に鑑賞すると、3時間弱は、あっという間に過ぎた。
また、フィッシュマンズのエンジニアのZAKが、音響を監修しており、音響がとても素晴らしいので、映画館で観るべき作品と感じた。

自分にとっては、今後も忘れ難い特別な作品となるだろう。

この映画を作成してくれたスタッフの方々や、手嶋監督や、フィッシュマンズの関係者の皆さん、素敵な作品を、本当にありがとうございます。