フィッシュマンズ佐藤君の墓参りと人生の目標設定

先日、ずっと行きたいと思っていたフィッシュマンズ佐藤伸治さんの墓参りに行くことができた。


フィッシュマンズの音楽に、初めて出会ったのは、25年くらい前に遡る。


1996年の春頃、高校生だった僕は、たまたまラジオから流れてきた「Baby Blue」を聞いて、衝撃を受けた。
中村貴子さんのミュージックスクエアという番組だったと思う。中村さん、本当に感謝しています。)

特徴的なボーカルと野太いベース音、もこもことした音質の中に、どこか寂しげだが心地よいレゲエのリズム。

今まで聞いたことがないような曲だけど、なぜかすごく心に響く。
一聴して虜になった僕は、すぐに近くのCDショップに行き、空中キャンプを購入した。

このアルバムは、本当に素晴らしいとしか言いようのない作品だった。

厳選された音のみで構成された8つの曲は、夢の中で鳴り響いているような、キラキラした不思議な感覚を呼び起こす。

かといって、小難しい実験的な音楽などではなく、どの曲も最高にポップで、踊れる、ジャパニーズロックレゲエダブ時々ヒップホップソングになっている。

また、日常にある言葉で、どこか孤独なんだけど、その孤独をそっと肯定してくれるような歌詞に、僕はすごく勇気づけられた。

いまだに、僕の中では、他の追随を許さない、生涯ベストといえる作品だ。


その後、彼らの過去作を遡り、幸運にもライブも数回観ることができた。
僕の青春は常に彼らの音楽と一緒だった。

佐藤伸治は、僕にとって、永遠のポップスターである。


そんな、佐藤君(あえて、自分が呼んでるように、佐藤君と呼びます。)のお墓参りに行くことができた。

場所は、千葉県のど真ん中の山奥にある、笠原霊園というところ。

場所の詳細は、以下の通り。
千葉県長生郡長南町笠森333 笠森霊園の中のお墓番号は6-8-28-3


他の方のブログでも書かれていたが、こんなに明るくてきれいなお墓があるのかと思うほど、広く開けた良い雰囲気の霊園だった。

閉園間際に到着したことと、佐藤君が導いてくれるだろうという淡い期待があり、
墓番号を頼りに、すこし焦り気味に、霊園の中を歩き出した。

しかし、歩いても歩いても、お墓は見つからない。
墓番号の区画も、6-7までは辿り着くが、隣は6-9になっていて、肝心の6-8が見当たらない。
区画の数字に法則性もなさそう、、、


同行した嫁も娘ともいつのまにか、離れ離れになり、誰もいない霊園の中、僕は、たった1人取り残されてしまった。


夏の終わりの夕暮れ時、人気のない霊園。
周囲の森から、セミの声だけが鳴り響く。


え?なにこの感じ?


誰もいない、西日の差す丘の上の霊園の中で、永遠とセミの声がこだましている。

自分しかいないけど、みんないるような。
お墓の真ん中にいるのに、不思議と怖さはなく、
普段、感じたことがないような、不思議な感覚。


ふと、佐藤君から、
「〇〇(私の本名)君、そういうとこなんだよなー君は、つめが甘いんだよ。」と、言われた気がした。

ライブや、インタビューの中で見せる、例の少しニヤニヤしながら言う、あの感じである。


そして、今の自分の問題点に気が付いたのである。

僕は、今まで、どこか行き当たりばったりで生きてきた。

そんな感じだからか、最近は、仕事に行き詰まりを感じ、本当に自分がやりたいことはなんなんだろうと、思い悩んでいた。

その問題点を、佐藤君に指摘された気がした。


故人と心の中で対面することによって、
自分と対話し、現状の問題点を見つけ出し、改善に繋げていく。

成功者が、よく墓参りをする理由が分かった。


ふと我に返り、冷静さを取り戻した。

 

入口付近の霊園の事務所に戻り、墓番号の書かれた地図を手に入れ、無事に佐藤君の墓に辿り着くことができた。

佐藤君は、一番最初に探していたあたりのすぐ上の、霊園を見渡せるような、小高い丘の上にひっそりと眠っていた。


佐藤君と対面し、これまでのお礼と今日の出来事について、感謝をした。


・冷静さを失わない
・焦らない
・ちゃんと最初に、目標設定する。
・目標設定したら、あとは、そこに向かって進むだけ。


これが、今の自分に必要なことだと思う。


佐藤君の墓参りを通じて、大きな収穫を得られた。そんな、お話でした。